見えづらい人





今日は、十一時に起きた。

六時に一度は起きてメッセージの返事をするが夢が気になって寝てしまった。

 夢は朧気だが、私はどこかのお店に行こうとして街中を歩いていた。まぁまぁの人込みで竹下通りぐらいのマスクもしていないのでコロナとは無縁の世界。

夢の私はとにかくお店に入ろうと歩いてた。ドン・キホーテの様なごちゃごちゃとしたお店の前に到着する前に声をかけられる。その声は聴きなれた声。振り返ると親しい友人がいた。

友人は私より少し年下だが、見た目は全く違う。遺伝性で白くなった髪。それに反して薄く日焼けしたような地肌。現実は常に眼鏡をしているが、夢の彼は眼鏡をしておらず、決して大きくはない切れ長で奥二重の目が良く見える。

「こんなところで、奇遇だね」

私を見下ろすぐらいに背が高い彼は180センチを超えている。相も変わらずの威圧感だなって思っていると足元に違う気配を感じた。

「あ・・・」

 彼に似合わない小型で毛並みがクルクルとカールが掛かってぬいぐるみと間違えるぐらいの犬を連れいた。

目がクリッとして私のご機嫌を伺う様子が愛らしい。しかし、その毛並みはお世辞にも言えないぐらいにひどく汚れていて触る気持ちにならないぐらいに汚れている。

私が犬に気づいた様子を見て彼は、見た目の汚れていることなど気にする様子もなく。

「あ、この子は知り合いの犬で預かっていてね。お店に行くついでに散歩させていたんだ」

と言いながら抱っこして顔を見せてくれた。綺麗好きだと思っていた彼の意外な一面を見た。

「そうなんだね、でもお店の前に置いていくの?」

彼がそうだなぁ、と言いかけた時に犬の飼い主が現れありがとうありがとうと彼に言って犬を連れて行った。

飼い主が来たというのに彼と離れるのが寂しそうな犬の様子がどちらが飼い主なのかわからないぐらいで面白く感じてしまった。

「あの子、洗わないんかな……」

私は思わず本音をポロリと言ってしまい。その言葉に動じることもなく彼は

「今度、預かる時に洗ってやるか」

彼の見えずらい人柄が見えた瞬間。彼は人には厳しいが心許した人と動物にはめっぽう優しい。

私は何を気に入られたかわからないが彼の怖い所を知らない。それでも彼が怖いのがわかる位に滲み出ている。

彼の優秀さを知っているから、一緒に仕事してみたいと昔に言ったことがある。

反応は意外に「自分は一緒に仕事したくないかな……。貴女に見られたくないね」

どうやら、自分の怒っている姿を見られたくないらしい、たしかに想像を絶する怖さだと思うが。

パチと目が覚める。変な夢を見てしまったなと思うが誰にも言うことができない。仕方ないので夢に出てきた彼にメッセージで報告すると。

「そうか(笑)」と一言しか返ってこなかった。

本当に感情が薄い方だ。感情のすべてを「(笑)」に集約するから、こちらは読み取りが大変だというのに。

「(笑)」があるということは機嫌を悪くしていない、ホッとしてしまった。

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