子供を育てるということ

 静かな時間は至福のひと時。私の心を和ませ執筆を進ませてくれる。何度も読み返し表現を変え少しずつ小説を作り上げる作業はかけがえのないものを優しく扱う作業でもある。

 この時間がいつまで続くように私は願って止まない。

「こらぁあああああああ (息子の名前)、何で邪魔するのおおおおお」

「へ~い、(娘の名)のばぁかああああか、お尻でかでかまるうううう」

「ごろらああああああああああああ」

 事務所や廊下で響く耳障りな音が響く。私の仕事部屋や監視カメラの音声でも聞こえてくる。ああ、私の安らかな時間は一体どこへ。

早く、早く夏休みなんて終わってしまえ……。

 夏休み真っ只中である。こんなことは毎日続き、母親である私はどんな人の声より効く怒声を浴びさせて鎮圧するのである。この行為私の命を削る行為であることを説明しておく、大きな声出すことは物凄くエネルギーを使う。暫くは執筆する気分にもならず、筆がとまってしまう。

 小学五年と一年の姉弟なので致し方無いのだが、親になると言うことは夏休みが大嫌いになることらしい。

 毎日、お昼ごはんをせがまれ、好き嫌い激しい子供のご飯を考えるのはノイローゼになりそうだ。因みに私は一日一食なのでお昼は食べないから必要ない。子供はそういう生活はさせてはいけないので作らないといけない。外食ばかりも栄養が偏る上にコロナにかかるリスクもある。気軽には出かけられない。

 幸い子供たちはインドア派だ。私の遺伝子関係なのだろうがお出かけしたいと騒がないだけ有難いのである。

 しかし、夏休みの宿題が終わってないのに一日中iPadとゲームばかりでは精神衛生上よろしくないと思い。宿題をするように勧める。今日はこれぐらいをしておきなさいと、ノルマを課して終わったら好きに遊んでいいルール。去年よりは進んでいる。そろそろ苦手な漢字ドリル練習と課題研究、読書感想文。

 読書感想文が一番苦労する。毎年大変な思いをして書かせている主人が哀れで私も手伝おうかと思い聞いたら。

「やめて、あなたか見たら怒りで娘を泣かせてしまうから」

 主人が言うには、言葉と文章を大事にする私が娘の読書感想文を手伝うと全てが苛々として想像を超えて怖いという。失礼極まる言葉を受けたがならない自信は無い。主人は長年私を見ているので仕事が遅い出来ない人に対する苛々オーラを見ている。そして罵声を浴びた経験もあるからこその身をもっての実績もある。

 一時間叱責の電話を受けて首が回らなくなり、片腕がストレスで痺れて感覚を失ったらしい。私もその話を聞いて主人を怒らないように、人には叱責しないようにと事務所から足が遠のいた。そして距離を持ちながら仕事をしている。今の状態が一番いい、執筆もできるし私にはちょうどいい。

 そう考えると私の役割は「怖い人」なので読書感想文は主人にお任せしようと思った。完全に父親と母親の役割がすり替わっている。家事する父親みたいで面白い。

 最近娘も静かな場所が欲しいのか、私の仕事部屋でゲームかiPadを見ている。私の物を触らないのでそのまま置いてあるが息子が来たらそういうわけにはいかない。ハンディ掃除機で変な遊びして叱られる。監視カメラを触って叱られる。息子は叱られたら自分が悪くても機嫌が悪くなる王子様で後始末が面倒。親なので叱らないわけにもいかない。その後のケアもしっかりしておく。

 これは愚痴の羅列しかなっていないではないか。何ということだ。

 あと数年したら、静かすぎて相手もしてもらえなくなることはわかっているから、この状況を愉しむことにしよう。親として教えることも多く厳しいことを度々言う。

 叱っていないのに、言われることが悔しいのか泣きそうな子供がいる。主人曰く「あなたの言葉は逃げれないぐらいに痛いところをど真ん中に突き刺すから」

 言葉の攻撃力の強さなのか、主人にも同じようにしていないか聊か心配になる。

 老後はひとりで寂しくいるんだろうな、それが似合っていると思うから始末が悪い。

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